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告白
(今日こそ……今日こそは絶対あの人に私の気持ちを伝えるのよ。がんばれ晴美!)
西山晴美はそう自分に言い聞かせながら、校門の近くで森川達哉がやって来るのを待っていた。
高校二年生の晴美は一年先輩の森川のことを好きになり、いつか彼に自分の気持ちを伝えようと思っていたのだった。
晴美は森川が校門を出ようと歩いてくるところを見つけると、近づいて行き、思い切って声をかけた……。
それから十年後───
「西山先輩、すみません」
昼下がりのオフィスで、晴美がパソコンで入力作業をしているところに高樹美代子がやって来た。
「今日、仕事が終わってからまた相談にのっていただいていいですか?」
晴美は美代子が入社してきたときから仕事のことなどで何かと相談にのってやっていた。
「いいわよ。じゃあ、またいつものカフェでね」
晴美は快く応えると、また仕事の続きに取りかかった。
「今日は何? 仕事のこと?」
待ち合わせ場所のカフェに着いてオーダーを済ませてから、晴美は美代子に尋ねた。
美代子は少し言いにくそうにしていたが、やがて小さな声で言った。
「先輩は男の人に告白したことがありますか?」
晴美はてっきり仕事の話だと思っていたので少し驚いた。しかしそれには答えず、逆に美代子に尋ねた。
「どうしたの、突然。誰か好きな人がいるの?」
それに対して美代子は、黙って頷いた。
「私、今とても好きな人がいて、その人に私の気持ちを伝えたいんです。でも今まで自分から告白したことなくて、どうしていいかわからなくて、それで……」
晴美は美代子の言葉を聞いてしばらく黙っていたが、やがて優しい笑顔で言った。
「私ね、高校生の時に一度だけ好きな人に告白したことがあるの。すごくドキドキしたけど、その人ね、私の気持ちを受け止めてくれた。だからあなたも素直な気持ちを伝えればいいと思うわ。言葉で言えなければ、手紙でもいいのよ」
それから数日後、仕事が終わっての帰り道、美代子が晴美に言った。
「先輩、この間はありがとうございました。私、自分の気持ちを好きな人に伝えました。でも振られちゃいました。彼、他に好きな人がいたんです」
その時の美代子は少し寂しそうだったが、でもどこかスッキリした表情で微笑みを浮かべていた。
それを見た晴美は、
「私、高校生の時に告白したことがあるって言ったでしょ。でも実はあの時、私も振られたの。嘘ついててごめんなさいね。だけどあなたのことを見てたらどうしても本当のことを言えなくて……」
と恥ずかしそうに美代子に言ったが、美代子はそれに対して笑顔で応えた。
「いいんです。それより先輩、見てください。空がとってもきれいですよ!」
二人はしばらくの間足を止めて、夕焼け空を見つめていた。
空を見上げる二人の顔はとても穏やかだった。それはまるで、空が、美しい自然が、二人を優しくしてくれているようだった。
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