甘いもの大好き!


職場の後輩の知佳子……彼女は甘いものが大好きだ。
彼女の机の引き出しには常にお菓子が入っていて、仕事の合間などによくそれを食べている。
そして彼女は、席が隣の私にもお菓子を勧めてくれる。
私も甘いものは好きだが、あまり食べるとすぐ太ってしまうので、なるべく食べないようにしていた。

それに彼女は、ときどき外回りをしたついでに甘いものを買ってきては職場のみんなに振る舞ってくれていた。
また、彼女はお菓子作りも好きで、自分でもケーキなどを作ってきては私たちに食べさせてくれていた。

「そんなに甘いものばっかり食べてて、あなたよく太らないわね。羨ましいわ」
私は彼女が甘いものを食べている姿を見て、そんなふうに言ったことがあったが、そのとき彼女は、
「私、いくら食べても全然太ったりしないんです。不思議ですよね、自分でも何でなのかよくわからないんです。先輩って太る体質だったんですよね。大変ですね」
と言って笑っていた。

そんな彼女だったが、あるとき甘いものを食べるのをぱったりとやめてしまった。
それに加えて、いつも明るい彼女がそれまで見せたことがないような寂しそうな表情を時折見せるようになった。
それを見た職場の人たちは心配して、いろいろとうわさ話をしていたが、ある時私はそれとなく彼女に聞いてみた。しかしそれについて彼女は、
「いえ、別になんでもないです。ただ、ちょっと太ってきたから、ダイエットしなきゃと思って……エヘヘ」
と言って、いつものように笑っていたが、その笑顔はどことなく寂しそうだった。

その後も彼女の様子は相変わらずで、見かねた私はある日の仕事帰り、彼女を誘って食事に行った。
「ねえ、本当に何かあったの? もしよかったら私に話してくれないかな」
食事を終えて紅茶を飲みながら、私は彼女に尋ねた。
すると彼女は、少しずつ私に話してくれた。

それによると、彼女は片思いの男性に手作りのお菓子をプレゼントして告白した。
しかし、その男性には他に好きな女性がいて、彼女は振られてしまったということだった。
それ以来、彼女の心の中から甘いもの好きがどこかへ行ってしまい、食べたいとも思わなくなってしまったようだ。

彼女の話を最後まで聞き終わった私は、彼女を元気づけようとして言った。
「ねえ、知佳子さん。今度私にお菓子作りを教えてくれない? 私、あなたがお菓子を作ってきてくれるのを見てて、ずっと自分でもやってみたいと思っていたの」
それを聞いた彼女は、いつもの笑顔に戻って、そしてゆっくりと頷いてくれた。

その後、私の職場には、以前のお菓子大好きな彼女の姿が戻ってきた。

      

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