|
女神たちのたそがれ
「今夜は彼と一緒に食事するのよ」
昼休み、曜子は弁当を食べながら、同僚の由香里に嬉しそうに話していた。
「ベイエリアにあるビルの最上階に有名なフランス料理店があるんですって。彼がそこで食事しよう、って言ってくれてるの」
「いいわね、曜子は。私なんて、そんな彼氏いないから、羨ましいわ。私も早く素敵な人を見つけなきゃ」
そう言ってため息をついた由香里に向かって曜子は、
「同期の小倉君はどう? 彼、由香里に気があるみたいよ」
と言ったが、それに対して由香里は、
「ダメよ。あの人、わたしの好みじゃないわ」
そう言って、弁当を食べながら、またため息をついていた……。
「ねぇ多香子、今日仕事が終わったら、映画を見に行きましょうよ」
昼休み、綾子はオフィスの近くのカフェでランチを食べながら、多香子にそう話していた。
ふたりは学生時代からの友人で、今はそれぞれ別々のオフィスで働いているが、職場が近いので昼休みはいつも一緒に過ごしていた。
そして、ふたりとも映画が大好きで、一緒に映画を見に行くこともよくあった。
「先週新しく公開された映画があるでしょ、あれすごく面白いって、私の会社で見に行った人が話してたわ」
綾子がそう言うと、多香子もその映画には興味があったらしく、
「私もその映画見たかったのよ。今度の週末にでも行こうと思ってたんだけど、いいわよ、一緒に行きましょう」
そう言って、大きな瞳を輝かせていた……。
「今日の英会話の講座、七時からだったわよね」
午後三時過ぎ、雅美は仕事の合間にコーヒーを飲みながら、隣の席の季実子に話しかけた。
雅美と季実子は今月からカルチャースクールの英会話講座に通い始めていたのだった。
「なんか私、もう挫折しそう。だって、みんな初心者ですから、っていうから始めたんだけど、結構英語を話せる人が多いじゃない。私一人だけ取り残されそうだわ」
それを聞いた季実子は、仕事の手を休めて雅美に言った。
「大丈夫よ、私だってほとんど話せないんだから。まだ始まったばかりだしこれからよ。それに受講料だって払ってるんだし、頑張りましょう」
それを聞いて雅美は、
「そうよね、始まったばかりだもんね。これからよね」
そう自分に言い聞かせながら、しかし不安そうな表情で、コーヒーカップを手にしていた……。
恋に、趣味に、自己啓発に……。
オフィスで働く女神たちは、仕事が終わっても様々な形で光り輝いている。
[ Previous ] .............................. [ Back ] .............................. [ Next ]
|