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春の予感
今年は例年になく、とても雪がたくさん降った冬だった。
おかげでスキーが大好きな僕にとっては、とてもいい冬だった。
仲間たちと何度もスキー場に足を運んだものだ。
しかし同時に、寒さが大嫌いでスキーをしない彼女にとっては、例年になく大嫌いな冬だったことだろう。
「そんなにスキーが好きだったら、北極にでも移住しちゃったら」
彼女は自分がスキーをしないものだから、冬になるといつも僕にそんな事を言っている。
僕は何度か彼女をスキーに誘ったのだが、彼女は、
「私、寒いのが嫌いなの」
と言って、スキーをしようとはしなかった。
そんなある日、彼女は話題の新作映画の試写会の招待券を手に入れた。
彼女は映画が好きで、その映画の招待券のプレゼントに応募していたからだった。
そして彼女は、その試写会に僕を誘った。
「ねぇ、今度の日曜日、一緒に試写会に行きましょうよ。招待券が当たったら、一緒に行くって約束してたでしょ」
と言う彼女、しかし僕はその約束を忘れていたので、日曜日には、例によって仲間たちとスキーに行くことになっていた。
それを聞いた彼女は、すっかり腹を立ててしまったが、その彼女の態度を見た僕は、ちょっとムッとして、
「なんだよ、映画の試写会ぐらいで……。そういう君だって、僕がスキーに誘っても全然行かないくせに。お互い様だよ」
と言って余計に怒らせてしまった。
彼女は、試写会には一人で行く、と言っていたが、結局僕は、スキーに行かず映画の試写会に行った。
僕の姿を見た彼女はさすがに驚いていたが、そのあとは少し微笑みながら、
「どうしてここにいるの? ここではスキーは出来ないわよ」
と言って、僕のことをからかった。
そんな彼女に、僕も微笑みを返しながら、
「今日はいい天気だから雪が解けちゃってね。スキーが出来なかったから、暇つぶしに映画でも見ようと思って」
と冗談を言って、彼女と一緒に試写会の会場へと入っていった。
映画を見終わって、会場を後にしながら、彼女は僕に向かって、
「今日は来てくれてありがとう。ねぇ、今度私にスキーを教えてくれる? 一緒に行ってみたくなったわ」
と言って微笑んで、夕日に染まった街を見つめていた。
その街の光景は、寒かった冬の終わりを感じさせ、同時にもうすぐやって来る春を予感させるかのように光り輝いていた。
そして、その時すでに、僕たち二人は春の予感に包まれていた。
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