マイ・スイート・メモリー


また今年もバレンタインデーが近づいてきました。
そしてまた今年も、私は手作りチョコレートの本を買ってしまいました。
手作りチョコレートの本はこれで五冊目になります。

この時期、本屋さんに行くと、必ず手作りチョコレートの本が並んでいます。
それはすごく美味しそうで、見ているだけでもとても楽しい。だから私はつい、手作りチョコレートの本を買ってしまいます。
別に自分でチョコレートを作って、それをあげる相手もいないのに……。

というわけで、私の部屋の本棚にきれいに並んでいる四冊の手作りチョコレートの本たちに、今年新しく買った本が仲間入りすることになりました。

そのとき私は、ふと以前買った本のうちの一つを手に取ってみました。
その本は確か三年前に買ったもので、そのとき私は一人の男性と付き合っていました。
そして、その人に手作りチョコレートをプレゼントするためにその本を買いました。
しかし、その人とはバレンタインデーの前にサヨナラをしてしまいました。

結局、いままで買った本を見てチョコレートを作ったことは一度もありません。
いつかきっと、好きな人のためにチョコレートを作ってあげたい……そんなことを思いながら、手作りチョコレートの本を買うけど、いつも自分の目を楽しませるだけで終わってしまっています。

本をパラパラとめくって見ているうちに、不意に私の心の中に少女の頃の記憶が甦ってきました。
それは、私が初めて好きになった人に、バレンタインデーにチョコレートを渡したときの記憶です。

そのときの私は、それまでに経験したことのない緊張感に包まれ、心臓の鼓動がとても速くて、今にも止まってしまいそうな、そんな気がしました。
そして、チョコレートを渡すまでのほんの少しの時間が、とても長く感じられました。
チョコレートを渡した私は、その人の反応を確かめることもなしに、すぐにその場から駆け出していきました。

その人とは結局それだけの関係でしたが、それだけでとても満足だった記憶があります。
そんな純粋な気持ち、いまではもうほとんど忘れてしまったけど、それは私の中で、なにか少し寂しい気がします。

(もう一度、少女の頃のあの純粋な気持ちを感じることができたら……)
本を見終わった私の心の中に、自然にそんな感情が沸き上がってきました。
そしてそのとき私は決めました、今年はチョコレートを作ろうと。

今、私には片思いだけど憧れている人がいます。
バレンタインデーには、その人に私が作ったチョコレートを渡すつもりです。
少女の頃に経験した、あの心のときめきを思い出すために……そしてその気持ちをいつまでも大切にしたいから。

 

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