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横浜ブルーライト
横浜港を巡るクルージング……。
その遊覧船に彼女と二人で乗るのは二度目、ちょうど一年ぶりのことだった。
みなとみらい、横浜ベイブリッジ、本牧埠頭、シンボルタワー、そして鶴見つばさ橋……。
横浜港の主役たちを見ながら、船は豊潤なコバルトブルーの海の上を滑るように走っていく。
そしてその海と壮大な青い空に挟まれた僕の住んでいる横浜の街。
時には海から眺めるのもいいものだ。
一羽のカモメが僕たち二人の目の前を横切ったとき、不意に彼女が言った。
「一年前、この船に乗ったとき、あなた私になんて言ったか覚えてる? 『君のことを幸せにするよ』って言ったわよね」
「僕は嘘つきだったかな?」
僕は、悠々と空に浮かんでいるカモメに尋ねた。
「さあね、どうだろう」
彼女は少し微笑みながら海を見つめていたが、そのあと少し小さな声で何か言った。
「……」
「えっ、何? 聞こえない」
僕は彼女に聞き返したが、それに対して彼女は、
「ううん、なんでもないわ」
そう言って、僕の顔を見て微笑んだ。
船は相変わらずコバルトブルーの海の上を滑るように走っていった。
心地よい風が吹く中を、およそ一時間半の船旅を終えて、船は波止場に帰ってきた。
そのころ、横浜の街は黄昏時を迎えようとしていた。
船を降りた僕たち二人は、街のカフェに向かった。
そこは夜になるとブルーのライトで建物全体が照らされる、僕が一番落ち着ける場所だった。
すでにあたりは薄暗くなっていたので、そのカフェは青い光で鮮やかに照らし出されていた。
そのカフェでオーダーを済ませた後、彼女が僕に言った。
「私、よく考えるのよ、本当の幸せってなんだろう、ってね。こんなふうに大好きな人がいつもそばにいてくれる、そんな瞬間が好きなの。平凡だけど、私にとってはそれが一番幸せなことなんだと思うわ」
それを聞いて僕は思った。
(遊覧船に乗っているとき、彼女が言いたかったのはこれだったんじゃないかな)
やがて僕たちの席にオーダーしたピザが運ばれてきた。
そのピザはこのカフェで一番のおすすめで、僕の大好物だった。
僕たち二人は、あつあつのピザを前にして、ペリエで乾杯した。
それから一カ月後、遠距離恋愛中だった彼女は、僕と一緒に横浜の街で暮らすようになった。
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