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ひまわり街道
町に向かう一本の小さな道、その道の横には、夏になると元気なひまわりで満たされるひまわり畑があった。
ひまわり街道……僕はその道のことをそんなふうに呼んでいた。
そしてそのひまわり街道が大好きだった。
夏の日差しの中、元気に育っているひまわりを見ていると、なにか僕自身も元気が湧いてくるようだった。
僕のガールフレンドもひまわり街道が大好きだった。
彼女はいつも僕に話していた。
「私、落ち込んだときでもあそこで元気よく咲いているひまわりを見ると、がんばろう、って気持ちになるの。だからひまわり街道は大好きよ。一年中咲いててくれないかな」
高校三年生になったある日、僕は彼女に尋ねた。
「君も大学に行くんだろう。僕はK大学を受験するつもりだけど、君はどこを受験するの?」
そのとき彼女は、僕の問いに対してこう答えた。
「私、大学には行かないわ、この町が好きなの。それにあのひまわり街道が好きなのよ。だからずっとこの町に残るわ」
高校卒業後、僕は希望通りK大学に進学し、大学卒業後もその町には帰らなかった。
一方彼女は、大学には進学せず町に残った。そして夏になると大好きなひまわりを見て暮らしていた。
それから数年後、僕は婚約者を連れてこの町に帰ってきた。
しかし、ひまわり街道と呼んでいたあの道は、新しく、広くなっていて、ひまわり畑があった場所も住宅街に変わってしまっていた。
「この道はひまわり街道と言ってね、昔は小さな道で、この場所にはひまわり畑があったんだよ。夏になるとたくさんのひまわりが咲いてたもんだ。すっかり変わっちゃったな」
僕はたくさんの家が建ち並ぶ住宅街を目の前にして、彼女に話してやった。
「へー、そうだったの。でも私もそのひまわり畑、見てみたかったわ」
そう言って彼女は、その住宅街を見渡していたが、しばらくして、
「ねぇ、あれ見て。ひまわりが咲いてるわよ」と言って、一軒の家を指さした。
彼女が言うとおり、その家の庭には元気のいいひまわりの花が数本咲いていた。
そしてひとりの女性が、ちょうどそのひまわりに水をやっているところだった。
その女性は……そう、僕の昔のガールフレンド、ひまわり畑が大好きな彼女だった。
「さあ、行こう」
僕は助手席に乗せた彼女に声をかけて、そして車を走らせた。
その道は、昔も今も、相変わらずひまわり街道だった。
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